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  • 2019.12.23 Monday

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    第13回 藍染の実用性 その2

    • 2019.12.23 Monday
    • 16:51

     

    前回、藍染がもたらす防虫効果、繊維の強化といった

    実用性についてお話ししました。

     

    今回はそこから発展した文化をご紹介します。

     

     

    皆さんにとって最も身近なものとしては、

    デニム生地で作られた、ジーンズでしょうか。

     

    現代のデニムは化学藍のインディゴで染められていますが、

    その起源は、天然藍の持つ堅牢さと、虫や蛇を避ける力を利用した作業着として

    アメリカのゴールドラッシュの労働者のために作られました。

     

     

    また日本の鎧や武具にも、かつて同様の目的を持って藍染めが用いられました。

     

    藍で黒に近くなるまで染め重ねた色を褐色(かちいろ)と呼びますが、

    これを"勝ち"とかけて験を担いだようです。

     

    濃くすればするほど繊維は強くなり、

    同時に"かち"に近づくのですから、

    武士はこぞって褐色の衣を求めたのでしょう。

     

    剣道着が紺色なのも、その名残と言えそうです。

     

     

     

    そしてこの効力は文化財の保存においても発揮されています。

     

    例えば、藍で染めた和紙に金字・銀字によって写経された国宝「中尊寺経」は、

    平安時代末期の作ながら今なお腐朽することなく現存しています。

     

    美的意義に加えて、やはり防虫の目的もあったのだと思います。

    「大般若経(巻第四百六十)(中尊寺経)」国宝 一巻 奈良国立博物館蔵

    (画像出典 https://imagedb.narahaku.go.jp/viewer.php?requestArtCd=0000005570)

     

     

    美しく、実用的。

    藍染が長きにわたり、人々の生活に寄り添い続ける理由と言えるのではないでしょうか。

     

     

    第12回 藍染の実用性 その1

    • 2019.10.30 Wednesday
    • 21:29

     

     

    遥か昔から人々の生活と共にあった藍染ですが、

    そこにはただ色を得るためだけではない、

    実用的な目的がありました。

     

    今回はそんな生活の知恵としての藍染をご紹介します。

     

     

     

    まず、ご存知の方も多いと思いますが

    藍染には防虫効果があるとされています。

     

    これは藍で染めた布が持つ、

    独特のアンモニア匂を虫や蛇が嫌い、

    近づきにくくなるようです。

     

     

    また繊維の強化という面でも有効です。

     

    藍染は繊維の中まで浸み込まずに

    表面に重なって染まり付くため、

    繊維は藍でコーティングされます。

     

    つまり染める回数を重ねるごとに色は濃くなり、

    繊維そのものも益々堅牢になります。

     

    これにより虫に喰われにくくなり、

    また摩耗などにも強くなるのです。

     

    ですから古い布の中には、

    藍で染めた部分は綻びがなく、

    他の色の部分だけ破れたり虫に食われているものを見かけます。

     

     

    人々はこういった藍染の持つ力を伝承的に知り、

    生活の至る所に活かしてきました。

     

    日本人も昔から野良着や着物をはじめ、

    衣類や貴重品を包む風呂敷、

    旅衣装としても藍染を用いてきたのです。

     

     

    その効力は現代の薬品と比べたら些細なものかもしれません。

     

    未だ科学的な裏付けがあるわけではありませんし、

    あくまで天然の忌避力ですから、

    天日干しの際、染めた布に

    虫がとまっていることも珍しくはありません。

     

    ですが、自然と共にあった頃の暮らしにおいては

    貴重な生活の知恵であり、

    それ故に現代にまで伝承されているのでしょう。

     

     

    用の美とも言うべき、

    頼りになる藍染です。

     

    第11回 諺にも、藍染

    • 2019.07.08 Monday
    • 19:30

     

    藍染から生まれた諺や故事成語がいくつかあることはご存知でしょうか。

    それらからは、いかに藍染が人々に親しまれてきたかを窺い知ることができます。

     

    ・「青は藍より出でて藍より青し」

    これは荀子の言葉が元であり、

    弟子が師を超えることを指します。

    藍から生まれる青色は、藍よりも青いためです。

    ここから派生した

    「出藍の誉れ」

    もよく耳にしますね。

     

     

    ・「紺屋の白袴」

    紺屋はこうやと読み、紺色を染める染め屋のこと。

    つまり藍染屋です。

    これは、藍染の仕事が忙しくて自らの袴は白いままである様、

    そこから周りのことで手一杯で自分のことが後回しになっていることを指します。

    医者の不養生と同義ですね。

    確かに、壺草苑のスタッフも

    藍染の作業着姿はなかなか見かけません。

     

     

    ・「紺屋の明後日」

    染め屋の仕事は天気に左右されやすく、

    納期を尋ねるといつも"明後日にはできる"と言うこと、

    そこから約束が当てにならない様を言います。

    「明後日紺屋に今晩鍛冶屋」と言ったりもします。

    紺屋の身には、なかなか刺さる諺です。

     

     

    ちなみに藍染を天日干しするのは布を乾かすだけでなく、

    紫外線に当ててタンニンの黄色味を浮かせるという目的もあります。

    そしてまた洗い、天日干しをしてはまた洗い…

    壺草苑ではこれを4日間繰り返します。

     

    そうすることで、黄色味が抜けた青はより鮮やかに、

    また定着していない余分な青色も落ちてゆきます。

     

    ですから、一日雨が上がらない限り

    作業は一向に進みません。

     

    特に今のような梅雨の時期は、

    「お天気が持てば明後日には…」

    とまさに紺屋の明後日が発動してしまいます。

     

    梅雨明けが待ち遠しいですね。

    第10回 染色の今昔

    • 2019.05.15 Wednesday
    • 19:14

     

    今回は、染色の今昔についてです。

     

    私たちが暮らす現代は、

    あらゆるものに彩色が施された鮮やかな世界ですが、

    昔はどうだったのでしょうか。

     

    きっと、今私たちが目にしている世界とは

    大きく異なる色相だったはずです。

     

    かつて、建物は主に鉱物から得る顔料で、

    服装品は植物から得る染料で彩色されていました。

    もちろん藍染がその一端を担ってきたことは言うまでもありません。

     

    植物や鉱物等の天然素材から色を得ることが染色の全てでしたから、

    「草木染め」という概念は化学染料の台頭を受け初めて生まれたのです。

     

     

    では、天然の色彩と科学的な色彩の違いはなんでしょうか。

    端的に述べれば、

    それは鮮やかさと言えそうです。

     

    天然の色彩には、その素材がもつ色以外の成分も一緒に定着しているため

    色の純度が低く、

    落ち着いた色目に見える特徴があります。

     

    一方で人工的な色彩は、

    100%その色だけに染まっているため純度が非常に高く、

    より鮮やかに眼に映るのです。

     

    もちろん、化学的に鈍い色を表すことも可能ですが、

    やはり植物でしか再現できない色味を

    草木染めは持っていると感じます。

     

    化学の発展とともに、

    世界は気付かぬうちに鮮やかさを増しているのかも知れませんね。

     

    第9回 中国の藍染

    • 2019.04.15 Monday
    • 19:28

     

    日本の文化のルーツを辿ると
    大抵中国に行き着きますが、
    藍染も同様、日本で使われる藍草・蓼藍(たであい)をもたらしたのも中国と言われています。
     
    そんな中国の藍染の歴史は古く、
    紀元前200年代、戦国時代の思想家・荀子の言葉に既に登場しています。
    「青は藍より出でて藍より青し」
    または「出藍の誉れ」という故事成語として知られ、
    青色は藍草から得るが、その色は藍草よりも青いこと、
    そこから弟子が師よりも秀でることを言います。
     
    比喩として通じるくらいですから、藍染がいかに身近なものであったかがわかりますね。
     

     

    また少数民族の間でも豊かな藍染文化が育まれており、
    貴州省の苗族や
    雲南省大理のペー族が良く知られます。
     
     
     使う藍草は地域、民族によって異なりますが、
    蓼藍、大青、琉球藍など様々なようですが、
     手法は沈殿藍が多いようです。
     
     
    中国において藍の衣服は
    貴賎に関わらずよく身につけられていたようで、
    高貴な人々は藍地に刺繍で文様を施した豪華なものを、
    庶民の間では印花布といった型染が親しまれました。
     
    古い品としては、アスターナや敦煌から四世紀頃のものとされる裂が発掘されていますし、
    日本にも舶来しており
    正倉院には夾纈の裂が多く保管されています。
     
     
    今ではやはりインディゴが主流ですが、
    少数民族の村を訪れると今でも藍染の民族衣装を纏った人々に出会えるようです。
     
    ちなみに藍草は染料としてだけでなく、
    古くから漢方としても重宝されていたようですから
    中国の壮大な歴史の中に、藍の奥深さが感じられますね。

    第8回 ヨーロッパの藍染

    • 2019.04.01 Monday
    • 20:38

     

    ヨーロッパと藍染と聞いてもあまりピンとこない方が多いかもしれませんが、

    はるか昔よりヨーロッパでも藍染が行われてきました。

     

    寒冷な気候のため、大青(たいせい)またはウォードと呼ばれる藍草が用いられます。

    葉を捏ねて乾燥させたコカーニュと呼ばれる原料を、発酵させて染料にするそうです。

     

    しかしこの大青にはいくつか問題点がありました。

     

    まず葉っぱの色素の含有量がとても少なく、

    なんとインド藍の20分の1とまで言われています。

     

    さらに大青は冴えた青色に染めることが難しく、

    またその染液の悪臭から人々に忌避されていました。

    (発酵させるためにしばしば人の尿が使われたことも要因ではと思います。)

     

    そのためヨーロッパにおいて藍染は好まれず、

    さらには青色が忌み嫌われる原因にもなります。

     

    青は、ローマ帝国にとって敵対する民族の瞳の色です。

    なおかつ戦の際に藍の染料で肌を青く塗って挑んできたこともあり、

    青色は野蛮で死を連想させる、汚く貧しいことの象徴として定着していたようです。

     

    しかし中世になると転機が訪れます。

    当時の喪服は上記の理由から青色でしたので、

    絵画において聖母マリアを象徴する色として用いられるようになると青色は徐々に好まれるようになり、

    王族の衣服に使われるほどとなりました。

    今でも青はヨーロッパでとても人気のある色です。

     

    大青の話に戻ります。

    そうして一時は大きな富を産むほど盛んに大青の栽培と染めが行われましたが、

    16世紀になるとやはり、ここにもインド藍が台頭します。

    瞬く間にその地位を奪われてしまいました。

     

    その後の繊維産業の染色はインド藍に切り替わり、

    植民地であるインドやアメリカ、ブラジルなどで盛んにインド藍の工場が経営されました。

     

    今となっては大青を使った藍染は すっかりその姿を消してしまったようですが、

    かつて大青の栽培で大きな富を築いた街はいくつか当時の面影を残しているようです。

    第7回 アフリカの藍染

    • 2019.03.01 Friday
    • 21:13

    あまり一般的には知られていませんが、

    アフリカは藍染文化がとても広く根付いている土地です。

     

    その歴史はあまり明らかになっていませんが、

    王族や祭祀の衣装として

    多くの民族の間で藍染が用いられてきました。

     

    使用する藍草は主に2種類見られます。

     

    まずはマメ科のコマツナギで、

    刈り取った葉を刻み乾燥させ、

    土間や空の甕の中で保存します。

     

    保存する間にも藍葉は発酵を始めるそうで、

    日本の蒅に近い状態と言えます。

     

    もう一つはナイジェリアのヨルバ族がよく用いる、

    アイフジ(別称ヨルバ・インディゴ)です。

     

    アイフジは幼葉にのみ藍の色素を含みます。

    その葉をついて丸め、乾燥させて保存し(玉藍と呼びます)、

    これを灰汁に混ぜて発酵させて染めます。

    沈殿方よりも更に簡易的な手法と言えます。

     

    国や植物は違えど藍染のロジックは変わりませんので、

    製藍の方法もある程度共通点が見られますね。

     

    そしてもれなくアフリカにも、

    インド藍、そして化学建ての波は届いているようです。

    しかし、原始的な生活を守る民族の間では

    きっと今でも天然藍が続いているのではないでしょうか。

     

    柄の付け方は絞り染めが多いですが、

    防染糊を用いた型染めも見られます。

    エネルギーに満ちたおおらかな柄が魅力です。

     

    またサハラ砂漠には“青衣の民”と呼ばれる、

    遊牧民トゥアレグ族が暮らしています。

     

     

    藍で染めた布を頭から足元まで全身に纏った姿からそう呼ばれ、

    藍染の布の香りや、布と擦れて青くかすんだ肌を好むのだとか。

     

    多彩な藍染が溢れる、アフリカ大陸です。

     

    次回はヨーロッパの藍染についてお話します。

     

    photo credit: stevemonty <a href="http://www.flickr.com/photos/10934425@N00/172489621">Tea in the Sahara</a> via <a href="http://photopin.com">photopin</a> <a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">(license)</a>

    第6回 インドの藍染 その2

    • 2019.02.15 Friday
    • 19:48

    前回に続きインドの藍染をテーマにお話しします。

     

     

    突然ですが、
    みなさんがインド人の姿をイメージするとき
    その方々は何色の衣服を纏っていますか?


    わたしはまず、赤色のサリーを思い浮かべます。
    それから黄色や緑でしょうか。

     

    そう、藍染はインドが世界に誇る文化ですが、
    藍色に対する感覚は私たち外国人が思うそれとは異なっているようです。

     


    実はインドで深く信仰されているヒンドゥー教において、
    "青"は卑しい色とされており
    女性がその色を身につけることは好まれないのだとか。

     

    なかでも濃紺は性愛のイメージと結びつけられ、
    忌避されているのだそうです。

     

    かつてのインドの身分制度において、
    最下位の色が青だったことも影響しているかもしれません。

     


    しかし世界的にみると、
    青色は高貴な色として衣服や絵画などに広く用いられてきました。
    自然界から手に入れることが困難であったためです。

     

    インドの人々にとっては、
    藍染という"青"が身近過ぎたのかもしれませんね。

     

     

     

    藍染の長い長い歴史を持つインド。

     

    この土地では高温多湿な気候のため 繊維の保存が難しく、
    はるか昔の品を目にすることはできません。

     

    また現代においては、日本と同じく
    藍の葉から作った原料を使う際に
    化学的手法を用いることが多いようです。

     

    そうやって時の流れと共に変化を受け入れながら、
    その長い長い歴史は続いていくことでしょう。

     


    ちなみに…
    インドで大手のLCCに、
    “IndiGo ”という航空会社があります。
    なんとも乗りたくなりませんか?
    私だけでしょうか。

     


    次回は隠れた藍染の隆盛地、
    アフリカです。
    お楽しみに(^^)

    第5回 インドの藍染 その1

    • 2019.02.01 Friday
    • 20:11

     

    今回から海外の藍染についてお話しします。

    まずはやはりこの国、インドからです。

     

     

    藍染を英語に訳すとインディゴですね。

    その語源となったインドは

    藍染を続けることはや4000年!

    世界に誇る藍染大国です。

     

     

     

    その所以は、

    インドの灼熱の太陽を浴びて育つ

    原料の藍草にあります。

     

    インドの藍草はマメ科のインド藍という植物で、

    その葉は小さいながら

    非常に多くの藍の色素を含有しています。

    西洋の藍草・ウォードの何十倍と言われる程です。

     

     

    また、染料にした後の形状も

    他に比べて利便性に優れています。

     

    インド藍は沈殿法によって染料を作ります。

    藍の葉を水に浸して発酵させ、

    沈殿した色素を乾燥させて固形状にして使うのです。

     

    これは保存と輸送に適し、

    太古よりインドの藍は各地へ運ばれました。

     

    15世紀の大航海時代に入ると、

    西欧を中心にその輸出量は最盛期を迎えます。

     

    「インド藍は色が鮮やかで堅牢度も強く、耐光性にも優れている」

    とその性能の高さと安価さから重宝され、

    それまで西洋で育まれてきたウォード藍はたちまち姿を消してしまいました。

     

    程なく日本にももたらされ、

    蓼藍による昔ながらの藍染の地位を脅かします。

     

     

    現代においてもその地位は揺らぎません。

     

    染料店に行けばインド藍は簡単に手に入りますが、

    昔ながらの日本の藍染の原料である蒅(すくも)は生産量が少なく売っていません。

     

    また学校の授業などで藍染をやったことがある、

    という方が使ったのもインド藍かもしれません。

     

     

    皆さんもきっと目にしたことがある、

    身近なインドの藍染です。

     

     

     

     

    次回もインドの藍染について、

    今度は文化面からお話できたらと思います。

    第4回 日本の藍染 その3

    • 2019.01.16 Wednesday
    • 17:38

     

    江戸の世に隆盛を極めた藍染ですが、

    時代が下ると安価なインド藍の輸入が始まり、

    日本の昔ながらの藍染は脅かされ始めます。

     

    さらに追い討ちをかけるように、

    明治時代に入るとドイツにおいて

    合成藍(人造藍、化学藍などとも)が発明されました。

    藍の葉を用いずとも、

    化学的に藍の色素を精製することが可能になったのです。

     

    この頃の日本は近代化の渦中、

    最新の技術や便利さをこぞって追いかけます。

    瞬く間に植物由来の藍染は減退し、

    この合成藍が取って代わりました。

     

    その後現代に至るまで、市場に出回る"藍染"製品のほとんどが

    この合成藍で染められています。

     

    手間とお金のかかる手段が廃れ

    便利さをより追い求めることは自然な流れですし、

    それは日本に限ったことではなく

    外国の田舎であっても今では合成藍が主流のようです。

     

     

    このように藍染と一口に言っても、

    化学的なものから天然のもの、

    その中間のものなどと多様なのが現代の藍染です。

     

     

    しかし常に時代は動き続けます。

    昨今の日本では生活に手間ひまをかけること、

    化学的なものよりも天然素材がより良いとする流れが強まっていますね。

     

    藍染においても、一時期よりは天然藍の割合が増えてきているようです。

     

     

    手法はともあれ、

    今後も変化を続けながら

    日本の藍染文化は続いていくことでしょう。

     

     

    長くなりましたが、3回に渡って

    日本における藍染の変遷についてお話ししました。

     

    次回からは日本の外に目を向けて、

    外国の藍染についてお話しようと思います。

     

    次回もよろしくお願いいたします。